【医療】オープンダイアローグ・対話実践

オープンダイアローグの概要 

 北欧の精神医療の領域で、「対話」を重視した治療方法として、「オープンダイアローグ」という手法が発展してきました。
 日本でも取り入れている病院があり、注目された手法です。

 大きな特徴は、医師・精神保健福祉士・看護師等の専門職も含めて、「ただ対話をする」ことに目的を置いているということです。
 対話を重ねることを通じて、結果として変化(改善、治療)が起こることにつながります。

 オープンダイアローグの特徴は、概ね以下に整理されます。

・対話を続けること
・その人のいないところでその人の話をしないこと
・計画を立てないこと
・チームで行うこと
・リフレクティングをもうけること
・ポリフォニー(多声性)を大切にすること

 

 特に、リフレクティングは、治療者同士が、患者の前で患者について話し合い、患者に治療者を観察する機会を設けるというもので、特徴的なステップと思われます。
 専門家同士の会話は時に専門的・分析的・審判的になる傾向があるため、リフレクティングでは、そのようなことにならないよう、患者の主体的な考え、判断を尊重することを重視しています。

 「対話実践」とも言うべきもので、導入にはトレーニングが必要と思われますが、日々の業務・実践でも参考になる治療法と思われます。
 今後も文献等を通じて学んでいきたいと思います。
 以下、私がこれまでに触れた文献を紹介します(随時更新予定)。

オープンダイアローグに関連する文献

まんがやってみたくなるオープンダイアローグ
(齋藤環解説、水谷緑まんが)(医学書院、2021年)

 オープンダイアローグのステップや実践が漫画でわかりやすく解説されています。
 1冊目の導入としてはとても良い文献だと思います。

オープンダイアローグとは何か
(齋藤環著+訳)(医学書院、2015年)

 論文等も引用されており、学問的背景等についてより深く学ぶことができます。
 上記の副読本として良いと思います。

オープンダイアローグ私たちはこうしている
(森川すいめい著)(医学書院、2021年)

 オープンダイアローグを日本の現場で実践している立場から、オープンダイアローグの実際等について学ぶことができます。
 分かりやすくポイントが整理されていると思います。

対話がひらくこころの多職種連携
(山登敬之編)(日本評論社、2018年)

 「対話」をキーワードに、多職種連携について多くの論稿が掲載されています。
 オープンダアローグに関する論稿も掲載されています。

精神障害のある人の尊厳の確立を求める決議
(日本弁護士連合会)(2021年)

 決議の理由中で、下記の通り、 オープンダイアローグについて言及されています。

近年においては対話を重視することにより入院を回避することは可能であるとの考えの下、諸外国において、[中略]、オープンダイアローグ(急性期を含めた精神疾患の患者に対し、危機に即座に専門職や家族、友人等の関係者が集まって、本人と共に開かれた対話を繰り返して治療するフィンランドの試み。実績が蓄積されていると言われている。)等の実践により入院を回避するための取組がなされ、日本においてもこれらの実践が試みられている。

精神障害のある人の尊厳の確立を求める決議、提案理由、第2、1、⑷より引用。

【参考】日本弁護士連合会:精神障害のある人の尊厳の確立を求める決議 (nichibenren.or.jp)

弁護士 社会福祉士 宮腰英洋(宮城・仙台)