【刑事】刑事司法ソーシャルワーク

 刑事弁護活動において、社会福祉実践の手法を取り入れる「刑事司法ソーシャルワーク」の手法が近時発展しています。

 司法と福祉双方の視点を持ち、本人主体を常に尊重して、更生に向けた支援を行っていくことは、とても有意義であり、やりがいのある活動です。
 有益な文献も多数発表されておりますので、私がこれまでに接した文献を整理します(随時更新予定)。

刑事弁護実践

知的障害者刑事弁護マニュアル-障害者の特性を理解した弁護活動のために

 初期の書籍ですが、資料も充実しており、今なお役に立つ実践が詰まっています。
 (大阪弁護士会編)(Sプランニング、2006年)

更生に資する弁護-髙野嘉雄弁護士追悼集

 更生に資する弁護実践としては原典というべき著書であり、常に立ち返りたい貴重な教えが詰まっています。
 (奈良弁護士会編)(現代人文社、2012年)

治療的司法の実践-更生を見据えた刑事弁護のために

 薬物事件、窃盗事件(クレプトマニア等)等、類型ごとに最先端の弁護実践が具体的に記載されています。
 (指宿信監修、治療的司法研究会編著)(第一法規、2018年)

刑事司法ソーシャルワークの実務-本人の更正支援に向けた福祉と司法の協働

 社会福祉士と弁護士の共著となっており、福祉と司法療法の視点から充実した記載があります。
 (千葉県社会福祉士会・千葉県弁護士会編)(日本加除出版、2018年)

障害者刑事弁護マニュアル

 刑事弁護の観点から、障害の定義や特徴、連携等、基本的・実践的事項についてまとめられています。
 (大阪弁護士会編)(現代人文社、2020年)

行為依存と刑事弁護-性依存・窃盗症などの弁護活動と治療プログラム

 刑事弁護の観点から、行為依存に関わる類型における弁護実践についてまとめられています。
 (神林=斉藤=菅原=中原=林=丸山著)(日本加除出版、2021年)

社会復帰支援

地域で支える出所者の住まいと仕事

 出所者支援の概要についてコンパクトにまとまっています。
 (水野有香編)(法律文化社、2016年)

不安解消!出所者支援-わたしたちにできること

 実際に出所者支援に携わる方向けの実践的書籍です。
 (掛川直之編著)(旬報社、2018年)

犯罪からの社会復帰を問い直すー地域共生社会におけるソーシャルワークのかたち

 「社会復帰とは何か」を問い直す意欲的な書籍で、地域における出所者支援のあり方等についても充実した記載があります。
 (掛川直之著)(旬報社、2020年)

司法福祉

司法システムから福祉システムへのダイバージョン・プログラムの現状と課題

 現在の入口支援・出口支援の理論・実践に連なる書籍です。
 (石川正興編著)(成文堂、2014年)

更正支援における「協働モデル」の実現に向けた試論-再犯防止をやめれば再犯は減る

 フィールドワークの手法を活用し、「協働モデル」の実現について論証を試みています。
 (吉間慎一郎著)(LABO、2017年)

「司法と福祉の連携」の展開と課題

 司法福祉に関する学術的・実践的論文集であり、現時点の到達点を示す書籍と思われます。
 (刑事立法研究会編)(現代人文社、2018年)

更生保護学辞典

 更生保護のトピックが網羅されており、1トピックで2頁以内に納まっているので、分かりやすく知識を整理することができます。参考文献も掲載されているので、より深く学ぶ取っかかりとしても活用できるのではないかと思います。
 (日本更生保護学会編)(成文堂、2021年)

弁護士 社会福祉士 宮腰英洋(宮城・仙台)